笑わなくたっていいんだよ今日は、実家で雑用をしていたのだが、テレビでは「東京国際女子マラソン」の実況をやっていたので、時々チラチラと見ていた。 前半で見た時は、高橋選手とアレム選手がぶっちぎりの様子だったので、多分高橋尚子さんが満を持しての勝利ということになるのだろうと思っていた。 ただ、その時にとても汗をかいていたので、「暑そうで大変だな」と、チラッと思った。 この季節に25℃なんて、調子狂うだろうな・・と。 またしばらくしてテレビを見ると、高橋選手のペースが落ちてきたらしい。 しかしその時、あの小出監督は「何とかつじつまを合わせるだろう」なんてことを言っていたような気がする。 私も、監督が言うのだからそうだろうと思い、テレビから離れた。 次に見たのは、アレムさんが競技場に入ってくるシーンだった。 「あれ、高橋選手は?」と思い、ズーッとテレビを見続けている夫に聞いた。 「もう、バテバテよ・・。でも、二着にはなるだろう」 私はマラソンや高橋選手に特別の思い入れもないので、「あー、かわいそうにね。最初に無理しちゃったかな・・」なんて夫と会話をしながら、せっかくだからゴールを見届けようとテレビの前に座った。 やがて高橋選手が競技場に入ってきた。 確かに、足の伸びが全然ないし、とても苦しそうだ。 アナウンサーが何か言っていたけれど、あまり記憶がない。 ただ、このトラックの一周をどんな思いで走るんだろうと思っていた。 競技場にいる人達だけではなく、日本全国の観客が、高橋選手の一等賞を待ち望んでいた(ようだ)。 無関心派の私ですら、最初の様子を見て彼女のトップを願った。 そして誰よりも、彼女自身がそのことのためにどれほど苦しいトレーニングを積んできたことだろう。 彼女にとっては、トップ以外の状態は「想定外」であったのではなかろうか。 この一周は、長いだろうな。ゴールした時、彼女の顔を見るのが辛いな…、そう思いながらも私はテレビを見続けていた。 ・・・ところが・・・ ゴールした彼女は、少し弱弱しいけれども笑顔を見せたのだ。 どうして笑顔なのだ…? きっと彼女のことだから、「期待にこたえられずにごめんなさい」くらいは言うだろうとは思っていたが、笑顔とは…。 彼女、大丈夫だろうか? とっさに私は心配になった。 決して笑えるような状態ではない時に笑うことは、その人の強さでもあるけれど同時に弱さであることも多い。 私は、それ以上彼女を見ていることに忍びない気持ちになり、テレビの前を離れてしまった。 ・・、これが私の弱さである。 しかし、弱いことは強いことでもあるのだ。 自分の心が必要以上にダメージを受けないようにすることは、とても大切なことだと思っている。 夜のスポーツニュースでの、小出監督のコメントも辛かった。 自分が面倒をみてやらなきゃやっぱりダメなんだって、言ってるように聞こえた。 そんなことないよ。 どんなに頑張ったって、どんなに用意周到にやったって、生身の体が思うようにいくはずない。 それが人間の証だと、私は思うよ。 2003年11月16日 |